PPI製剤とH₂ブロッカーについて
PPI製剤とは、、、
:プロトンポンプ阻害剤
胃酸分泌のプロトンポンプを抑制し胃潰瘍や逆流性食道炎に伴う胸焼け、痛みを和らげる薬。
胃のプロトンポンプとは
胃の表面には胃酸分泌のプロトンポンプが存在している。
このプロトンポンプが、細胞内のエネルギーを利用してK⁺を細胞内へ→
反対に細胞内(㏗7)からH⁺(プロトン)を胃の内部へ輸送する→胃の内部が㏗1(強い酸性環境)になる
⇒暴飲暴食、様々なストレス→遺産・胃粘液分泌バランスの乱れ→胃酸による胃本体の損傷→胸焼け、胃潰瘍
胃の機能
- 食べたものを一時的に収納して十分に消化するとともに少しづつ腸へ送る
- 咀嚼嚥下したものが、富栄養物が数時間体温下で滞留しても腐敗しない理由は、強酸性環境が菌の繁殖を抑制しているから
- 胃酸による殺菌作用、酵素の活性化、鉄のイオン化
- ペプシンによるたんぱく質の消化
- 粘液分泌による胃壁の保護
- 消化管ホルモンのガストリン分泌による胃酸分泌促進
- 内因子放出によるVB₁₂の吸収促進
H₂ブロッカー(H₂受容体拮抗薬)
胃酸分泌のプロトンポンプを抑制し胃潰瘍や逆流性食道炎に伴う胸焼け、痛みを和らげる薬(PPI製剤と作用は同じだが、胃酸抑制効果が強いのはPPI>H₂ブロッカー)
胃酸分泌を促進させる神経伝達物質として、ヒスタミン、アセチルコリン、ガストリンがある。
食べ物に対する「食べたい」「いい匂い」「おいしい」
→胃の幽門部(最後の出口)のG細胞からガストリン(消化管ホルモン)が血液中に分泌
→胃底腺の壁細胞から胃酸分泌促進+胃体部の細胞からヒスタミン放出誘発
ヒスタミンはH₂受容体(ヒスタミンH₂)に作用→胃酸分泌促進
H₂ブロッカーは受容体に作用→胃酸分泌抑制
ヒスタミン…組織の損傷により肥満細胞から放出され、炎症反応に関与する。
炎症が起こる→ヒスタミンによる血管拡張、血管の透過性亢進→発赤、浮腫、腫脹
PPI製剤とH₂ブロッカーの比較
|
PPI |
H₂ブロッカー |
酸抑制効果 |
強力 |
|
効果の特徴 |
持続性 |
速効性 |
投与制限 |
あり |
なし |
昼夜の差 |
日中で強力 |
夜間で強力 |
ピロリ菌検査への影響 |
偽陰性の恐れ |
なし |
PPI製剤(例)
タケキャブ、パリエット、ネキシウム、オメプラゾール
H₂ブロッカー(例)
PPI製剤
〈処方理由〉
・胃・十二指腸潰瘍、逆流性食道炎
・ガストリノーマ
・ピロリ菌治療補助
・NSAIS使用時における潰瘍の一次予防
・ストレス潰瘍の予防
☟本当に全例必要ですか?
〈潜在的リスク〉
・潰瘍性病変発生(ポリープ、胃や大腸癌)
・代謝栄養学的問題(VB₁欠乏、鉄欠乏)
・骨折
・感染症
胃酸抑制→胃内㏗↑→殺菌効果↓→胃の中で細菌↑→菌が食道に戻り気管に入る→肺炎
・下痢
難治性の水溶性下痢
とくにランソプラゾールによる報告が多い→H₂ブロッカーへの変更で改善報告あり